たしかに、私は暇かもしれない。
フルタイムで働いているわけでもないし、家事も完璧じゃない。
ときには、適当に済ませて、好きなことをして過ごす日もある。
自分でも「暇って言われたら、そうかもしれないな」と思うことがある。
だから、本当なら気にしなくていいはずなのに──
「主婦って暇でしょ?」
そう言われると、なぜか言葉が詰まってしまう。
「私は大変なのに」…その空気に、胸がざわつく
世間話のひとつとしてなら、笑って流せたかもしれない。
でも、その言葉の奥に
「私は働いてるのに」
「私の方が大変なのに」
そんな温度が混ざっていると、
胸の奥にちくっと何かが刺さる。
「楽でいいよね」
「毎日、何してるの?」
「羨ましいなあ、時間があって」
悪気がないことも、わかってる。
でも、比べられていると感じた瞬間に、
人はとっさに自分を守りたくなるのかもしれない。
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「主婦って暇でしょ?」──その言葉に、どう返せばよかったのか。
心の中に残る“ちくり”とした違和感を描いた、ショートストーリーです。
暇でも、心が動いてないわけじゃない
私は、のんびりした時間が好きだ。
無理のない範囲で家のことをして、
あとは自分のペースで過ごす。
それが、今の私にとって心地いい生き方。
でも──
「暇そう」「楽そう」と言われると、
自分の暮らしを堂々と語れない自分にも気づいてしまう。
否定したくない。でも、否定されたくない
私は、「働いている人の大変さ」も、ちゃんとわかってる。
だから、「そんな言い方しないで」とは言えない。
角が立つのが怖いし、
相手が疲れてるのかもしれないとも思ってしまう。
だから今日も、曖昧に笑ってごまかした。
だけどそのあと、小さな引っかかりだけが残った。
苦しいのは、比べられること
私は、私なりにちゃんと生きている。
手を抜く日もあるし、余白のある暮らしをしているけど、
それを“楽そう”“暇そう”と比べられると、
言葉にならない苦しさが浮かんでくる。
「暇そうだね」と言われるのは構わない。
でも、“あなたより楽でしょ?”という視線には、なんて返せばいいかわからない。
うまく返せない私も、悪くない
結局、今日もまた、笑ってごまかした。
でも最近、こう思う。
うまく返せないのは、私が相手に気をつかってる証。
それって、やさしさでもあるんじゃないかな。
いつかちゃんと、笑って言える日がくるといい。
「うん、暇かもしれない。でも、それが今の私にはちょうどいいんだ」って。